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AIエージェントが見つけたサーバーレス

任せられる実行基盤の設計

AIエージェントに実行環境を任せるための設計判断を、サーバーレス技術の再発見として一冊にまとめた技術同人誌です。

発行日
AIエージェントが見つけたサーバーレス 表紙

AIエージェントが見つけたサーバーレス——任せられる実行基盤の設計

AIエージェントが自分でコードを書き、ツールを動かす時代に、その実行環境をどう用意するか。サンドボックス、身元と権限、状態の置き場所、失敗のセマンティクス、ワークフロー、耐久実行、観測と評価、そして退出・主権・電力まで——サーバーレス技術が積み上げてきた設計判断を、AIエージェントの文脈で捉え直した一冊です。

紙の本文には設計判断の骨格だけを置き、対応リージョン・上限・料金のような揮発する現在値は、更新され続けるデジタル付録に隔離する二層構成です。製品が入れ替わっても、紙の地図を使い回せます。

対象読者

  • AIエージェントやサーバーレスを実務で扱う開発者・設計者
  • エージェントに任せる範囲と、それを支える実行環境を、根拠を示して設計したい方
  • クラウド各社のエージェントサンドボックス群を、共通の軸で見比べたい方

特徴

  • 序章〜第17章+巻末の全112ページ(JIS B5)。五つの段階(動かす/他人に使わせる/落とさない/信頼される/賭けを管理する)で成長曲線を一本に貫きます
  • 脚注123本・一次資料158件を出典IDで管理し、書籍サポートページから全出典・デジタル付録20エントリへ到達できます
  • 章末の問いと巻末の出荷判定17問、16枚の代表設計成果物で、読んだ内容をそのまま設計レビューへ接続できます
  • 序章「再発見——エージェントが見つけたサーバーレス」は全文を公開しています

目次

  • 序章 再発見——エージェントが見つけたサーバーレス
    • ある発表——どこかで見た「新しさ」
    • 既視感の正体——サーバーレスの再発見
    • 四社の収斂進化——同じ選択圧、違う答え
    • 〔再発見〕と〔再発明〕——見分けるためのラベル
    • 本書が目指すこと
    • 現在地マップ——五つの段階を一枚で
    • 紙に刷らないという設計——本文とデジタル付録の二層

第I部 動かす

  • 第1章 作り捨ての原理——実行環境はいつでも消える
    • 1.1 足元の違和感——ツール実行は、消える環境の上にある
    • 1.2 借りた場所は返す——ゼロスケールの経済
    • 1.3 いつでも消える——罰則ではなく交換条件
    • 1.4 マネージドサービス——運用を所有しない部品
    • 1.5 FaaS——部品をつなぐ独自ロジック
  • 第2章 コールドスタートと復元——初回の沈黙を分解する
    • 2.1 初回の解剖——遅い場所を特定する
    • 2.2 軽くする、先に済ませる、温めておく
    • 2.3 スナップショットと復元——実行環境の状態を安全に複製する
    • 2.4 そもそも建てない——アイソレートという別解
    • 2.5 采配の内側——プール、配置、休止
  • 第3章 推論の置き場所——モデルという新しい依存
    • 3.1 三つの置き方——API、モデルホスティング、セルフホスト
    • 3.2 粒が大きいほど、割り勘は難しい——遅れて来た従量課金
    • 3.3 モデルホスティングの内側——在庫と段取りの商売
    • 3.4 選ぶとき——判断と退出を同じ紙に書く
    • 3.5 実行・依存マップ——「動く」の足元を一枚に

第II部 他人に使わせる

  • 第4章 サンドボックス——機械が書いたコードを動かす
    • 4.1 レビューを経ないコード
    • 4.2 最小権限原則——資格、出口、依存、制御面
    • 4.3 隔離技術を比べる——共有面と残る攻撃面
    • 4.4 誰から守るか——隣人、ホスト、大家
    • 4.5 コンピューターを分解する——仕事、状態、実行面
    • 4.6 実行環境への入り口——命令、ID、Workspace
    • 4.7 実行面を誰が用意するか——買い手と提供者
    • 4.8 脅威モデル——隔離技術を選ぶ前の一枚
  • 第5章 テナントとライフサイクル——壁、寿命、再接続を選ぶ
    • 5.1 相乗りは、論理的に分けて物理的に混ぜる
    • 5.2 テナントは、混ぜてはいけないものの単位
    • 5.3 ライフサイクル——同じ方向、異なる状態遷移
    • 5.4 ライフサイクル比較表——七つの軸で選ぶ
    • 5.5 見えない壁——ネットワークという境界
  • 第6章 実行主体の身元——短命な実行に限定された権限を
    • 6.1 最小権限——爆発半径を、仕事の大きさに合わせる
    • 6.2 ワークロードID——ソフトウェアにも名前を与える
    • 6.3 ゼロトラスト——「内側」という安全地帯をやめる
    • 6.4 名義を運ぶ——入口の検証から、奥への引き継ぎへ
    • 6.5 権限・委任マトリクス——誰が誰のために何をするか

第III部 落とさない

  • 第7章 状態の置き場所——ステートレスの原則とデータの重さ
    • 7.1 非対称——消えてよいものと、消えてはならないもの
    • 7.2 状態の棚卸し——あなたのエージェントの机の上
    • 7.3 預かる側の解剖——データには重さがある
    • 7.4 接続——ステートレスの世界に残った最後の状態
    • 7.5 状態台帳——置き場所を復旧計画へ変える
    • 7.6 残る付箋——「途中まで」の置き場所
  • 第8章 失敗のセマンティクス——再送は重複を生む
    • 8.1 タイムアウトの向こう側——第三の状態
    • 8.2 少なくとも一度——重複は仕様である
    • 8.3 リトライの設計——増幅と病院
    • 8.4 冪等性——何度届いても、一度しか効かせない
    • 8.5 途中で転ぶ——沈黙の不整合と打ち消し
    • 8.6 人間という承認装置——最長の待ち
    • 8.7 リトライ予算——粘り強さの責任者を決める
  • 第9章 ワークフロー——次の一手と進み具合を基盤へ預ける
    • 9.1 一歩から歩みへ——関数の外側に残った仕事
    • 9.2 書き方ではなく責任——五つの記述面を同じ軸で読む
    • 9.3 オーケストレーションとコレオグラフィ——全体を誰が知るか
    • 9.4 コネクタとノーコード——消えるのは配線コードだけ
    • 9.5 固定された骨格と動的な一手——エージェントを囲う
    • 9.6 ワークフロー境界表——業務を実行条件へ落とす
    • 9.7 どこまで基盤へ預けるか——次は進行を生き残らせる
  • 第10章 耐久実行——決定を記録し、実行をつなぐ
    • 10.1 基盤が覚えている——論理実行と物理実行を分ける
    • 10.2 三つの耐久化機構——覚える対象が違う
    • 10.3 記録と再生——非決定性を境界の外へ出す
    • 10.4 耐久フロー——一手ごとに境界を固定する
    • 10.5 長生きする実行の規律——待ち、履歴、版、資格
    • 10.6 どの機構を買うか——一つへ丸めない

第IV部 信頼される

  • 第11章 観測と経済——動作と単位経済を測る
    • 11.1 見えない基盤を見る——難しさの正体
    • 11.2 何を集めるか——三本柱と、エージェント固有の計器
    • 11.3 非同期の監視——体温と脈拍
    • 11.4 エージェントの経済——請求書より先に
    • 11.5 観測設計——問いから計器を置く
    • 11.6 観測の値段——どこまで見るか
  • 第12章 評価と決定証跡——説明を記録から組み立てる
    • 12.1 テレメトリの隣に置くもの——何が起きたか、なぜ許したか
    • 12.2 語られた理由と、検証できる記録——思考過程を証拠にしない
    • 12.3 証跡エンベロープ——一回の判断を束ねる
    • 12.4 評価を結果へつなぐ——オフライン、オンライン、業務
    • 12.5 証跡を守る——改ざん、秘匿、保持、削除
    • 12.6 承認と異議申立て——その時点の判断を再構成する
  • 第13章 AIサプライチェーン——コード以外の部品まで追う
    • 13.1 あなたのコードは半分もない——実行時に増える依存
    • 13.2 人と配布経路が狙われる——XZからTrivyまで
    • 13.3 SBOMの外側——AI部品も結果を変える
    • 13.4 AI BOM——参照アーキテクチャの記入例
    • 13.5 来歴を強制する——部品表、署名、関所
    • 13.6 次の関所——部品を一つのリリースとして運ぶ
  • 第14章 ガードレール付きデリバリ——長期実行を壊さず届ける
    • 14.1 Infrastructure as Code——環境と関所を書き起こす
    • 14.2 パイプライン——本番へ出す前に当てる
    • 14.3 リリースの単位——デプロイと振る舞いを分ける
    • 14.4 耐久実行の版——固定するか、境界で移すか
    • 14.5 止め方の設計——ロールバックの外側
    • 14.6 ロールアウト・停止計画——記入例と雛形

第V部 賭けを管理する

  • 第15章 ロックインの値付け——モデル・推論API・データ
    • 15.1 出口は宣言でなく試験——ツールは跨げても、語彙は跨げない
    • 15.2 三つのロックイン——仕様、メンタル、データ
    • 15.3 データは根を張る——料金より時間を測る
    • 15.4 第IV部の成果物を荷造りする——四つの扱いへ仕分ける
    • 15.5 退出計画——参照アーキテクチャの記入例
    • 15.6 ロックインに値札を付ける——深く使う判断を説明する
    • 15.7 次の賭け——動かせないから、動かしてはならないへ
  • 第16章 デジタル主権——場所、法域、運用、鍵を分ける
    • 16.1 所在だけでは決まらない——データがまとう二枚の法
    • 16.2 主権の五軸——要求を証拠へ翻訳する
    • 16.3 四社の違う答え——主権境界をどこへ置くか
    • 16.4 鍵を握ることと、平文を見せないこと——停止権を分ける
    • 16.5 データの流れ——モデル、証跡、テレメトリまで国境を描く
    • 16.6 主権マトリクス——参照アーキテクチャの記入例
    • 16.7 あえて縛る——選び直したロックイン
  • 第17章 電力と炭素——成果あたりの物理コストを測る
    • 17.1 ゼロは四種類ある——請求、割り当て、電源、炭素
    • 17.2 算定境界を式にする——E、I、M、R
    • 17.3 各社の数字は同じ名札でも同じ境界ではない
    • 17.4 総量と強度を並べる——良くなった一件が増え続けるとき
    • 17.5 エネルギー・炭素算定境界——記入例と雛形
    • 17.6 物理まで降りて、サーバーレスの輪郭へ戻る
  • 巻末 設計レビュー台帳——関所、成果物、付録の入口
    • 出荷判定の17問——一章一つの関所
    • 台帳の様式と横断照合——複製して使う一式は付録へ
    • デジタル付録の歩き方——IDで揮発する答えへ戻る
    • 良き境界がみちびいた道——到達点の確認