Digital Appendix
『AIエージェントが見つけたサーバーレス』のデジタル付録
設計レビュー台帳——記録の様式と横断照合
設計レビュー台帳——記録の様式と横断照合
対象本文
巻末「設計レビュー台帳」を補います。出荷判定の17問と各章末の問い(全68問)は書籍を正本とし、ここには、レビュー記録の様式、16の代表設計成果物の照合表、横断照合の8項目を置きます。複製して、あなたのリリースのレビューに使ってください。
収集方法
書籍のJIS B5・本文112ページ対応にともない、2026-07-28に書籍巻末から様式と照合表を移設しました。内容は書籍本文と同期しており、外部からの収集値を含みません。書籍の版が進み、成果物の定義や照合項目が変わったときに、この台帳も同じ版で更新します。
現在の答え
台帳の使い方: レビューIDを振って対象リリースを固定し、巻末の17の関所を通し、証拠を以下の16の代表設計成果物と補助証拠から引きます。台帳は、書類の有無ではなく、証拠の接続を判定するためのものです。
レビュー記録——対象と判定を固定する
レビューの最初に、何を判定したのかを固定します。参照アーキテクチャの記入例は次の形です。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| レビューID | ship-review:r25:01 |
| 対象 | release_id=r25、workflow v7、AI BOM v25 |
| 業務境界 | 問い合わせ受領→社内検索→返信案→人承認→チケット書き戻し |
| 対象データ | 規制対象の問い合わせ。要求は指定法域J1内での処理 |
| 証拠の締切 | 判定時点までに署名・取得した構成、試験、契約、観測、評価 |
| 判定者 | プロダクト、基盤、セキュリティ、業務、法務・調達の各責任者 |
| 判定 | 条件付き不合格 |
| 未解決 | 評価器のJ1外処理。代替評価器の影実行と専門判断が必要 |
| 所有者・期限 | プラットフォーム責任者。次回の出荷判定まで |
| 例外 | なし。期限付き例外を設ける場合は承認者と失効条件を別記 |
| 証跡参照 | 主権マトリクスr25-v3、データフローr25-v4。代替評価試験は未取得 |
| 再レビュー | 代替評価器、契約、データフロー、対象リリースのいずれかを変更したとき |
この判定は書籍第16章の記入例を引き継いでいます。保存場所と鍵が満たされても、一つの未解決なデータ経路が残れば出荷しません。条件付きは、解く条件、所有者、期限、再判定の引き金を記録する状態です。
読者用のヘッダーには、この記入例と同じ項目列をそのまま使います。関所と成果物は、すべてこの一枚へ参照を返します。
成果物レビュー——16枚を一つのリリースへ束ねる
関所を通す証拠の中心は、次の16の代表設計成果物です。復旧試験、評価結果、作用記録、拒否試験、演習記録は、版・試験・実行のたびに更新または増加します。こうした補助証拠は16枚の外に置き、対応する代表成果物から参照します。責任の異なるものを一枚の万能表へ押し込まず、共通のrelease_id、run_id、データ分類、承認対象、評価定義で束ねます。
第I・II部——実行と境界
| 成果物 | 正本章 | 最低限結ぶもの | 不合格の兆候 |
|---|---|---|---|
| 実行・依存マップ | 3.5 | 第1章の作り捨て・外部正本要件、第2章の初期化・復元要件、実行単位、寿命、課金、推論、外部依存、退出の引き金 | 推論先や正本が「既定」のまま |
| 脅威モデル | 4.8 | 資産、七攻撃面、予防制御、検知、失効、破棄、証拠 | 壁の製品名だけで守る対象がない |
| ライフサイクル比較表 | 5.4 | 第2章のスナップショット作成前・復元後要件、七軸、契約/ベストエフォート/利用者実装、実測 | 休止、破棄、再割当を同じ矢印で描く |
| 権限・委任マトリクス | 6.5 | 利用者、ワークロード、対象、scope、承認、証拠、委任封筒の必須項目と検証順序 | 原トークンまたはpayloadのtenant_idだけで認可する |
第III部——状態、作用、進行
| 成果物 | 正本章 | 最低限結ぶもの | 不合格の兆候 |
|---|---|---|---|
| 状態台帳 | 7.5 | 正本、再生成性、整合性、保持・削除、法域、復旧目標、別障害境界、最終復元試験、重複キー | 保持環境が唯一の正本になっている。外部ストアの存在だけで戻せると見なす |
| リトライ予算 | 8.7 | 責任者、対象失敗、試行・時間、バックオフ、同時実行、再認可、枯渇後、作用記録の参照、処理中の印の期限と結果不明時の突き合わせ | 各層の既定再試行を掛け合わせていない。結果不明の実行を「処理中」のまま残す |
| ワークフロー境界表 | 9.6 | 段階、次の一手の主体、進行条件、外部作用、待機・期限、失敗時、証拠 | 読みやすい図が、レビューも版固定もできない正本になっている |
| 耐久フロー図 | 10.4 | 履歴、チェックポイント、環境復元、承認、冪等性、結果参照、補償、履歴の復旧目標 | リプレイ時に完了済みの作用を再実行する |
第IV部——観測、証拠、部品、変更
| 成果物 | 正本章 | 最低限結ぶもの | 不合格の兆候 |
|---|---|---|---|
| 観測設計 | 11.5 | 問い、信号、相関キー、SLO、引き金、停止、担当、保持、費用、証拠保全 | 信号に行動がなく、行動に信号がない |
| 決定証跡エンベロープ | 12.3 | 入力参照、版、作用、ポリシー、承認、評価、結果、完全性、保持 | モデルが語った理由を証拠にする |
| リリース判定のTEVV表 | 12.4 | 用途、必須観点、標本と合格条件、測らない理由、残余リスクの引受先 | 「測らない」を空欄のまま出す |
| AI BOM | 13.4 | コード、モデル、プロンプト、ツール、索引、ポリシー、評価、来歴、署名 | 可変別名を不変版として扱う |
| ロールアウト・停止計画 | 14.6 | 入口評価、段階、既存実行の版、旧版排出、停止、補償、完了条件 | ロールバックが新規入口の切替だけで終わる |
第V部——退出、主権、物理
| 成果物 | 正本章 | 最低限結ぶもの | 不合格の兆候 |
|---|---|---|---|
| 退出計画 | 15.5 | 持ち出す正本、再生成物、作り直す身元、演習、合格条件、時間、費用、消去 | エクスポート成功だけで移行合格にする |
| 主権マトリクス | 16.6 | 所在、法域、運用、鍵と停止権、実行中アクセス、専門家、期限 | リージョンまたは鍵の一項だけで適合とする |
| エネルギー・炭素算定境界 | 17.5 | E、I、M、品質条件つきR、総量、強度、方法版、不確実性 | 請求額からkWhを作り、未知をゼロで埋める |
横断照合——一件と一式を切らさない
| 結合キー・照合条件 | 同じ値または定義で結ぶ成果物 | 確認すること |
|---|---|---|
release_id | 決定証跡、AI BOM、ロールアウト、退出、算定境界 | 実行した版と評価・移行・算定した版が同じか |
run_id | 状態台帳、作用記録、耐久フロー、観測、決定証跡 | 一件の受付から外部作用と業務結果まで辿れるか |
| テナント・データ分類 | 脅威モデル、権限表、状態台帳、主権マトリクス | 壁、権限、保持、法域が同じ対象を指すか |
| 対象ダイジェスト・承認 | 作用記録、耐久フロー、決定証跡、ロールアウト | 承認後に対象を作り直していないか |
| 評価セット・品質条件 | 実行・依存マップ、決定証跡、AI BOM、ロールアウト、退出、算定境界 | 品質を落として費用や炭素を良く見せていないか |
| 停止権・補償 | 権限表、リトライ予算、ロールアウト、主権マトリクス | 鍵、外部作用、新規受付、版を別々に止められるか |
| 正本・削除 | 状態台帳、決定証跡、退出計画、主権マトリクス | 複製、消去、保持、退出後削除の範囲が一致するか |
| 期間・方法版 | 観測設計、成果あたりコスト、算定境界 | 前後比較が同じ境界と方法で計算されているか |
16枚が単独で合格しても、結合キーが切れていれば全体は不合格です。AI BOMがr25なのに退出演習がr24、承認対象のダイジェストと書き戻した対象が違う、炭素強度の分母だけが別の品質条件を使う。こうしたずれは、個別チェックリストでは見落とします。
第1章の外部正本一覧と破棄後の復旧試験は、実行・依存マップへ結びます。第2章の状態三分類とスナップショット作成前・復元後の試験は、実行・依存マップとライフサイクル比較表へ結びます。第8章の作用記録は一作用ごとに増える補助証拠であり、17枚目の設計表ではありません。run_id、冪等性キー、対象ダイジェストでリトライ予算とワークフロー境界表へ結び、必要な一件をレビュー台帳から引ける状態にします。一つの関所が複数成果物を要求しても、一つの成果物が複数関所を支えてもかまいません。
一次資料
- 本エントリは書籍本文からの移設で、外部の一次資料はありません。各成果物の定義は、書籍の正本章(3.5、4.8、5.4、6.5、7.5、8.7、9.6、10.4、11.5、12.3、12.4、13.4、14.6、15.5、16.6、17.5)を参照します。
既知の未知
- 成果物の定義と照合項目は書籍の版に従います。書籍の版が進んだときは、この台帳も同じ版で更新します。
- 台帳の様式は運用の道具であり、個別の製品仕様・料金・提供状態は各
A-*エントリを正本とします。
変更履歴
- 0.10.1 (2026-08-06): 第4章の章順変更に合わせ、脅威モデルの正本章を4.9から4.8へ更新。
- 0.10.0 (2026-07-28): 書籍のJIS B5・本文112ページ対応にともない、巻末からレビュー記録の様式、成果物レビュー16枚、横断照合8項目を移設して新設。出荷判定の17問は書籍巻末を正本として残す。