Digital Appendix
『AIエージェントが見つけたサーバーレス』のデジタル付録
AWS Lambda MicroVMs
AWS Lambda MicroVMs
対象本文
序章のライフサイクル、第2章の休止・再開と課金境界、第5章のネットワーク出口、第6章の秘密参照と役割分離を補います。Lambda Functions一般の実行環境や、Amazon Bedrock AgentCore Runtimeの実行モデルとは分けて読みます。
収集方法
2026年7月30日にAWSの開発者ガイド、クォータ、料金、Claude Managed Agents統合例を再照合しました。仕様値はアカウントやリージョンの実値ではなく、公開資料に記載された既定値・上限です。購入判断ではService Quotasと見積書を優先します。第2章との接続では、実行中、休止中、終了後に何の料金が残るかを個別に確認しました。
現在の答え
Lambda MicroVMsは、FirecrackerによるVM境界、Amazon Linux 2023のOS機能、初期化済みスナップショットからの起動を一つのマネージド資源として提供します。利用者はイメージを作り、セッションや仕事ごとにMicroVMを起動し、専用HTTPSエンドポイントへ接続します。
| 観点 | 2026-07-30時点の提供仕様 |
|---|---|
| 提供範囲 | バージニア北部、オハイオ、オレゴン、アイルランド、東京。ARM64 |
| サイズ | ベースライン0.5〜8GB、0.25〜4vCPU。ピーク時は最大4倍、最大32GB・16vCPU。最大ディスクはサイズに応じ8〜32GB |
| 生涯 | 1回のMicroVMは最長8時間。APIまたはアイドルポリシーで休止、再開、終了 |
| 状態 | 休止ではメモリとディスクをチェックポイントへ保存し、再開時に復元。終了では資源を解放 |
| 入口 | MicroVMごとのHTTPS endpoint。JWEトークンはMicroVM、許可ポート、有効期限へ限定。HTTP/1.1、HTTP/2、WebSocket、gRPC、SSE |
| 出口 | 既定はパブリックインターネット。VPC egress connectorでサブネットとセキュリティグループの境界へ通す |
| 課金 | 実行中は計算料金。休止中は計算料金が止まり、snapshot storage料金が残る。終了するとMicroVMの料金は止まる |
この製品が他社のエージェントサンドボックスと同じ方向を向くのは、利用者やセッション単位のOS環境をAPIで割り当て、基盤に生涯を管理させる点です。AWS固有の答えは、MicroVMそのものを第一級の資源として見せ、休止・再開・終了と入口トークンを利用者が明示的に操作できるところにあります。
第2章から読む課金境界
MicroVMを実行しているあいだは、ベースライン計算資源と超過利用に対する計算料金が発生します。休止すると計算料金は止まりますが、メモリとディスクの状態を保つsnapshot storage料金は残ります。再開時には保存状態を読み戻し、/resume hookで資格情報、接続、時刻依存状態を再検証してからトラフィックを受けます。終了すると計算資源と保存状態が解放され、MicroVMに対する料金は止まります。
したがって「休止すると無課金」ではなく、計算のメーターを止め、状態保持のメーターへ移すと読みます。初期化済みsnapshotからの起動、実行中、休止中、再開、終了は、それぞれ別の状態であり、同じ「コールド/ウォーム」という言葉だけでは課金境界を表せません。現在の単価、snapshotの読出し・書込み・転送を含む明細はAWS Lambda Pricingを正本とします。
休止は耐久ストレージの代わりではありません。復元後には接続、資格、時刻依存キャッシュを再検証し、長期の正本は外部へ置きます。料金ゼロも「物理機器が停止した」という意味ではありません。
Claude Managed Agentsの参照構成では、Anthropic側がモデルとagent loopを持ち、AWS側のMicroVMがツールを実行します。launcher Lambdaがwebhook署名を検証してMicroVMを起動し、Anthropic organization API keyはAWS計算資源へ渡しません。MicroVMにはSecrets Managerの参照を渡し、実行ロールで読ませます。この例は役割分離の一構成であり、Lambda MicroVMs一般の必須構成ではありません。
一次資料
- AWS Lambda MicroVMs guide: https://docs.aws.amazon.com/lambda/latest/dg/lambda-microvms-guide.html
- Core concepts and lifecycle: https://docs.aws.amazon.com/lambda/latest/dg/microvms-how-it-works.html
- Running, suspension, resumption, and billing: https://docs.aws.amazon.com/lambda/latest/dg/microvms-launching.html
- Best practices and cost optimization: https://docs.aws.amazon.com/lambda/latest/dg/microvms-best-practices.html
- Images and sizing: https://docs.aws.amazon.com/lambda/latest/dg/microvms-images.html
- Networking and JWE: https://docs.aws.amazon.com/lambda/latest/dg/microvms-networking.html
- Quotas: https://docs.aws.amazon.com/lambda/latest/dg/gettingstarted-limits.html
- Pricing: https://aws.amazon.com/lambda/pricing/
- Claude Managed Agents integration: https://docs.aws.amazon.com/lambda/latest/dg/microvms-integrations-claude-managed-agents.html
既知の未知
- 利用可能なリージョン、クォータ、API rate limit、単価は変更されます。
- 公開上限は対象アカウントで実際に承認されたクォータを保証しません。
- 「near-instant」「sub-second」は提供者の表現であり、読者のイメージ、地域、負荷に対するSLOではありません。
- 休止snapshotの保持、障害、削除に関する完全な耐久保証は、外部正本の代替として評価していません。
- snapshot storageの単価と読出し・書込み・転送の扱いは料金表で変わり得るため、見積時に再確認します。
変更履歴
- 0.10.0 (2026-07-30): 第2章の課金ケースに合わせ、対象本文へch02を追加。実行中・休止中・終了後の課金境界、resume hook、状態保持料金の読み方を明文化し、確認日を更新。
- 0.9.1 (2026-07-28): 書籍巻末の「デジタル付録の歩き方」が本エントリを例示参照するようになったため、
reference_sectionsへch18(巻末)を追加。内容の変更はない。 - 0.9.0 (2026-07-10): A-22の検証結果を現行ドキュメントへ再照合し、状態機械、サイズ、入口、出口、課金、役割分離を初版ドラフト化。